- RCEP に関する⽇中韓専⾨家セミナー及び⽇中韓経済報告書2023 発表式典の開催(韓国・ソウ ル)
- June 22, 2023
2023
年6 ⽉22 ⽇、韓国・ソウルにて、⽇中韓専⾨家セミナー及び⽇中韓経済報告書2023
発表式典が開催されました。本式典は、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の実施による経済協⼒と、経済的影響の最⼤化、地域経済統合について議論を⾏うことを⽬的に、⽇中韓三国協⼒事務局(TCS)が主催しました。欧渤芊(オウ・ボーチエン)TCS 事務局⻑が開会挨拶を⾏い、遅福林(チー・フーリン)中国(海南)改⾰発展研究院院⻑、アラディン・D・リロ東アジア・アセアン経済研究センター上級経済顧問及び⾦興鍾(キム・フンジョン)韓国対外経済政策研究院院⻑が基調講演を⾏いました。
開会挨拶の中で欧TCS 事務局⻑は、RCEP とその累積的原産地規則により、貿易・サプライチェーンの⾯で各加盟国に⼤きなメリットが⽣まれていることを強調しました。その⼀⽅で、経済活動への地政学的影響や製造業における競合構造といった課題も存在していることを述べ、⽇中韓がRCEP
のもたらす機会を活かすことで、産業の地域的分割を最適化し、デジタル経済やグリーン経済、ブルーエコノミー、国際的電⼦商取引、レジャー産業といった新興経済分野において連携を強化することの重要性を訴えました。
遅院⻑は、⽇中韓がサービス貿易分野で協⼒を促進するうえでRCEP が果たす役割の重要性を強調しました。第⼀に、各国間でサービス貿易の補完性が⾼まっており、それが経済協⼒・貿易協⼒を推進するうえでのポイントとなること、第⼆に、RCEP
の枠組みの中でサービス貿易の協⼒を推進する鍵が、「サプライチェーンのデカップリングと破壊」を避けてさらなる市場アクセス拡⼤を促しながら市場を開放することにあることを述べました。そして、第三のポイントとして、アジア地域の経済⼤国である⽇中韓にはRCEP
推進の調整役としての重要な役割があり、原産地規則の「完全累積」制度の実施を進めるための基盤は整っていると述べました。遅院⻑は、RCEP
の枠組みの中で三国間の協⼒を推進するために、トレンドを把握して障害を取り除き、⽇中韓FTA 交渉を再開して世界最⼤となる⾼⽔準の⾃由貿易地域設⽴に合同で取り組む必要性を強調しました。
アラディン・D・リロ上級経済顧問は、ルールに基づいた多国間貿易制度のメリットを論じ、地域内のバリューチェーン強化というRCEP
の⽬的を強調しました。また、協⼒の推進、地域内の貿易関係の密接化、サプライチェーン強靭化のためにASEAN と⽇中韓が果たす重要性を述べ、RCEP の実施を成功させて東アジアの統合を推進するには、RCEP
の枠組みにおける三国間の協⼒推進が⾮常に重要であると訴えました。
続いて⾦院⻑は、RCEP がサプライチェーンの連携促進に⼤いに貢献すること、各加盟国を統合された1
つの経済圏として結び付ける役割を果たすことを強調し、2019 年以来中断されている⽇中韓のFTA
交渉再開の基盤になると⼒説しました。最後に、世界経済の不安定要因を解決するには⽇中韓の協⼒が不可⽋であると締めくくり、⽇中韓三国の経済協⼒関係強化にRCEP
が重要な役割を果たすだろうと述べました。
本セミナーでは、⽇本、中国、韓国、ASEAN から18 名の第⼀⼈者が⼀堂に会しました。セッションI では、⽇中韓の地域経済の現況と経済統合に関する知⾒を共有し、三国間の経済協⼒強化の重要性が強調されました。セッションII では、国・地⽅レベルでのRCEP の実施に焦点を当て、この分野における共通の課題を特定し、RCEP を通じて今後成⻑を達成するための戦略について議論を⾏いました。また、三国間で経済的結びつきを強めるために地⽅レベルで協⼒を進めることが提案されました。セッションIII では、RCEP の枠組みにおける地域経済協⼒の重要性について議論を⾏いました。パネリストからは、RCEP における三国間の協⼒がもたらす可能性が⽰され、特に、政策交流が果たしうる重要な役割について語られました。また、将来の世界経済においてアジアが⾮常に重要な役割を果たし、その中でも⽇中韓が経済⼤国として世界経済を牽引するという展望が述べられました。
本セミナーは、中国(海南)改⾰発展研究院、東アジア・アセアン経済研究センター、韓国対外経済政策研究院の⽀援を受けて開催されました。